更新日:2025年2月21日
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令和7年度の施政方針を掲載しています。
令和7年伊豆の国市議会3月定例会の開会に当たり、直近の主要事業の状況並びに新年度の施策の大要を申し上げ、市議会並びに市民の皆様の御理解、御協力を賜りたいと存じます。
昨年は、元日の能登半島地震に始まり、全国各地で大規模災害が頻発し、また南海トラフ地震臨時情報の発令など、災害はいつ起こってもおかしくない、という思いを一層強くしたところであります。また、気候変動の影響や、世界的な情勢不安、長引く物価高騰など、多くの問題が顕在化した一年でありました。
このような中、本市では、市民生活に係る様々な課題を解決するための施策を、着実に展開してまいりました。
令和7年度は、市制施行20周年のメモリアルイヤーであります。本市のなお一層の発展に向け、市民の皆様と一体となって、「公平・公正で良識と品格のある市政・まちづくり」に引き続き邁進してまいります。
まずは、本年度の振り返りも含めまして、直近の主要事項の状況を御報告させていただきます。
はじめに、深沢橋架替事業についてです。
昭和29年に架橋された深沢橋の架替えは、旧大仁町時代からの課題でもありましたが、周辺地権者の皆様をはじめ、多くの方々の御協力のもとに、平成28年度より事業を進めてまいりました。長い工事期間を経て、いよいよ、3月4日に開通となる予定であり、これに先立ち、3月1日に完成式典を行います。令和7年度は、仮設橋の撤去や、県道の復旧工事などを行い、事業の完了を予定しております。市制施行20周年の節目を象徴する事業の一つと考えております。
次に、2市1町合同職員防災研修会及び県等との風水害合同対処訓練についてです。
1月24日に、本市、伊豆市及び函南町の合同で、職員防災研修会を開催しました。東日本大震災の被災地である岩手県山田町の職員を講師に招き、2市1町の職員、約200人が参加しました。各市町の職員が、災害に対する共通認識を持ち、広域防災力を向上させることを目的として、合同で開催したものであります。翌日には、美しい伊豆創造センター主催による、伊豆半島の住民向け防災シンポジウムも開催され、多くの方が参加されました。
また、2月10日には、静岡県と、本市・伊豆市・焼津市・川根本町、陸上自衛隊、警察署、消防署、静岡地方気象台の職員の合同で、風水害対処訓練が実施されました。大規模な風水害が発生した場合を想定し、速やかな情報収集、適切な情報発信、関係機関への要請等の、一連の手順や判断基準の確認など、実態に即した訓練を行いました。
今回の研修や合同訓練から得た知見を活かし、本市における課題への対応なども含め、今後も、様々な角度から災害への備えを強化してまいります。
次に、御殿場市との観光交流協定の締結についてです。
2月5日に、本市と御殿場市において、相互の観光交流を促進し、地域の活性化を図ることを目的に、観光交流協定を締結いたしました。世界文化遺産の富士山と韮山反射炉をキーワードに、両市が誇る歴史・文化、豊かな自然環境といった観光資源を最大限に活かし、農産物や特産品の販売協力などを進めて、観光の新たな流れを作りたいと考えております。また、今後の市民レベルの交流にも期待しているところであります。
以上、直近の主要事項の状況を御報告させていただきました。
なお、その他の事業を含む12月定例会以降の取組状況につきましては、行政報告として、別紙を配布させていただきましたので、御確認ください。
続いて、新年度を迎えるに当たっての施政方針として、令和7年度当初予算案について御説明させていただきます。
この令和7年度当初予算につきましては、「市制施行20周年~未来へのステップアップ予算」と銘打ち、市制施行20周年の節目に当たって未来を見据え、災害に強く、活気にあふれ、豊かさを実感できるまちづくりを進めていくための施策を積極的に展開していこうというものでございます。
はじめに、予算概要についてであります。
令和7年度の当初予算案の規模は、一般会計が245億8,000万円、特別会計が3会計の総額で108億5,600万円としております。企業会計は、3会計の総額で42億5,900万円としております。
一般会計の総額は、対前年度比で8.6%の増となっており、積極型の予算として、重点施策に手厚く予算を配分し、住民サービスの向上を目指し編成しております。
次に、一般会計の歳入の状況についてであります。
歳入の根幹となる市税につきましては、全体で、対前年度比3.5%増の69億8,300万円と見込んでおります。
地方交付税につきましては、令和6年度の交付基準額をベースに、国の地方財政計画で臨時財政対策債の発行が計上されていないこと、算入対象の公債費が増加することなどを踏まえ、対前年度比12.9%増の46億2,000万円を見込んでおります。
市債につきましては、最終年度となる合併特例債を活用した大型事業により、対前年度比10.3%増の29億7,790万円を計上しております。
歳入に占める市債の割合は12.1%となり、前年度の11.9%を上回っております。合併特例債の発行期限である令和7年度は、この有利な起債を活用して必要な事業を積極的に行うこととしているため、高い水準となりますが、後年度の償還負担を視野に入れ、計画的に、健全な財政運営を行ってまいります。
なお、令和7年度末の市債の残高は、約278億2,700万円を見込んでおりますが、後年度の元利償還金に対して、臨時財政対策債の全額、合併特例債の70%などの交付税措置があるため、市の実質的な負担は、大幅に軽減されることとなります。「市債の残高が多い・少ない」という単純な視点に限らず、市の実質的な財政負担を考慮した上で事業を展開していることを、市民の皆様に是非、御理解いただきたいと思います。
次に、令和7年度予算の重点施策についてであります。
令和7年度当初予算は、市制施行20周年の節目に当たり、本市が豊かな未来へステップアップしていくための、次世代を見据えたまちづくりの予算であります。
第1に「安全安心・強いまちづくり」、第2に「人を育むまちづくり」、第3に「誰もが暮らしやすいまちづくり」、第4に「活力ある持続可能なまちづくり」、これら4つのまちづくりの枠組みに、「行政機能の強化」を加えた5つの枠組みにより、施策を展開してまいります。
第1の「安全安心・強いまちづくり」では、災害に強いまちづくりのためのインフラ整備や、防災力の強化に関する事業を推進いたします。
第2の「人を育むまちづくり」では、子育て支援、教育振興、教育施設整備に関する事業を推進いたします。
第3の「誰もが暮らしやすいまちづくり」では、福祉の充実、健康長寿に関する事業を推進いたします。
第4の「活力ある持続可能なまちづくり」では、産業振興、環境保全、市民協働、移住定住促進に関する事業を推進いたします。
第5の「行政機能の強化」では、DX推進、庁舎機能整備に関する事業を推進いたします。
それでは、5つの枠組みごとに、特徴的な事業を御説明いたします。
第1の「安全安心・強いまちづくり」についてであります。
冒頭でも申し上げましたとおり、「災害はいつ起こってもおかしくない」上に、災害への備えは、「これで十分」ということがありません。
地区要望に基づく道路改良工事・維持補修工事、河川改修工事や浚渫工事、急傾斜地対策などに対し、重点的に予算を配分し、激甚化する災害に耐えうる強いまちづくりを進めてまいります。
防災力の強化につきましては、避難所となる小中学校体育館へ、移動式エアコンと非常電源用発電機を導入します。
能登半島地震での被災地支援の経験を踏まえ、家屋被害調査から罹災証明、支援金、税の減免等を一元管理する被災者生活再建システムを導入し、災害に対する具体的な備えを強化してまいります。
あわせて、自主防災会の要望に基づく資機材整備事業補助の拡充や、流域治水対策のための田んぼダム整備のモデル事業の実施など、官民が一体となった事業を推進してまいります。
次に、第2の「人を育むまちづくり」についてであります。
子育て支援につきましては、昨年度同様、令和7年度の施策をまとめた「いずのくに子育て応援パッケージ」を作成しました。これにもお示ししておりますとおり、継続性のある事業をきめ細かに実施していこうとするものであります。
多くの子育て世帯で御活用いただいている「いずのくに子育て応援アプリ」には、伊豆市の子育て支援団体と連携した情報発信を追加し、交流イベントも行ってまいります。
令和4年度から取り組んでいる給食費の物価高騰対策につきましては、市費による負担分を8%に引上げ、保護者負担の増加を抑制しつつ、質の高い給食の提供を維持してまいります。
病児保育につきましては、従来の市外の1か所に加え、令和6年12月から順天堂大学医学部附属静岡病院でも事業が開始され、ニーズの増加に対応しております。
また、幼稚園の統合により、令和7年度末で閉園となる田京幼稚園の施設は、大仁くぬぎ会館の機能を強化した代替施設とするための設計業務を実施し、こどもたちの居場所と、生涯学習施設としての活用を検討してまいります。
同じく、令和7年度末で閉園となる共和幼稚園の施設については、子育て支援の拠点として活用していくための検討を進めてまいります。
教育振興につきましては、令和2年度に導入した、小中学校の1人1台タブレットの一斉更新を行います。
新たな取組みとして、伊豆長岡地区2小学校の水泳授業の外部委託モデル事業を実施します。
また、これまで一部の学校において設置していた、学校運営協議会と地域学校協働本部の組織を市内全小中学校に設置することとし、地域とともにある学校づくりをさらに進めます。
教育施設整備につきましては、市内全小中学校の校舎照明のLED化、長岡南小・長岡北小・大仁北小の屋外トイレの洋式化を行います。合わせて、3つの大規模小学校の校舎の耐力度調査を行い、今後の施設整備方針の検討の基礎としてまいります。
歴史・文化拠点施設、文化財展示施設につきましては、伊豆の国市の、「知」の集積として、令和8年4月のオープンに向け、工事を着実に進めます。また、施設サポーターの研修など、ソフト面での準備も十分に行ってまいります。
この文化財展示施設の整備は、将来、歴史の検証に十分耐えうる有用なものであると確信しております。
次に、第3の「誰もが暮らしやすいまちづくり」についてであります。
福祉の充実につきましては、新たな取組みとして、重層的支援体制推進事業において、介護を必要とする高齢の方をはじめ、支援を必要とされる方の家庭ごみ戸別収集の業務を開始します。
生活保護運営事業の子どもの進路選択支援や、生活困窮者自立支援事業の学習ボランティア養成業務など、支援を必要とする世帯の子どもたちを支える新たな事業にも取り組みます。
また、障害のある方や高齢者、運転免許証自主返納者に対するタクシー等の利用助成については、誰もが外出しやすいまちづくりの施策として、引き続き実施してまいります。
健康長寿につきましては、帯状疱疹ワクチンの定期接種化が決定されましたが、50歳以上の定期接種対象者以外の希望者に対する助成を、市費により引き続き行ってまいります。
加齢による難聴者に対する補聴器購入の助成も引き続き行います。
新たな取組みでは、医療・介護・障害福祉サービス事業所における、情報共有システム「シズケアかけはし」の導入を支援し、多機関での情報共有を図ることで、支援対象者が質の高いサービスを受けられる環境を整えます。
次に、第4の「活力ある持続可能なまちづくり」についてであります。
産業振興では、本市の中心的な産業である宿泊業に対し、宿泊事業者の業務効率化の取組みや社員寮整備等を支援する、「宿泊業の経営力基盤強化事業費補助」を新たに実施します。
道の駅維持管理事業では、道の駅区域の維持管理負担金、トイレ・観光案内所施設などの借上料、観光案内所の管理運営費を支出することで、道の駅という公益的施設の機能維持において、市の役割を果たしていくこととしています。
商工業に関する新たな取組みとして、企業立地候補地選定調査と、市内中小事業者の人材確保のための採用活動事業費補助を実施します。
農業関連では、令和6年度に「オーガニックビレッジ宣言」を行いましたが、有機農業促進のための取組みをさらに進めてまいります。
また、新規就農者に対する支援も、引き続き行ってまいります。
環境保全では、太陽光発電やクリーンエネルギー自動車などの導入支援や、こども向けの環境教育の推進など、地球温暖化対策への取組みを継続してまいります。
新たな取組みとして、製品プラスチックの再商品化を開始します。
不要となった廃棄物処理施設等の解体撤去工事は、合併特例債を活用し、着実に進めてまいります。
市民協働では、市制施行20周年記念として、夏休み期間中にこども議会を開催することを計画しております。
都市交流事業では、モンゴル国ソンギノハイルハン区との友好都市10周年記念事業や、中学生のモンゴル国研修を行います。
移住定住促進では、移住定住プロモーションや移住定住者への助成、地域おこし協力隊の新規隊員の募集などを引き続き行います。
最後に、第5の「行政機能の強化」についてであります。
DX推進では、これまで準備を進めてきました、国の、地方公共団体情報システム標準化、ガバメントクラウドサービスが開始となります。
市民課窓口にキャッシュレス決済端末や、窓口予約管理システム、申請書の氏名住所等の記入を省略する4情報転記スキャナー、受付案内等のデジタルサイネージを導入し、市民の利便性の向上を図ります。
庁舎機能整備では、令和6年度からの継続事業で、伊豆長岡庁舎及び大仁庁舎の大規模改修工事を引き続き進めます。また、各庁舎等の電話網システムの更新・一元化を実施します。
以上、令和7年度当初予算案をはじめとする諸議案の御審議に先立ち、当初予算における基本的な考え方や、特徴的な取組について申し上げました。
市議会議員各位におかれましては、より一層の御理解、御協力をお願いし、本定例会に提案申し上げております令和7年度当初予算案をはじめ、各議案につきまして、十分精査の上、御議決いただきますようお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。
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