更新日:2025年11月12日
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国際交流員のアノンが広報Izunokuniに連載中の「アノンのあのね」第13回を紹介します。
皆さん、サインバイノ!アノンです。
伊豆の国市ではもう秋の景色が広がり、稲刈りの時期を迎えていますが、私自身はまだ真夏の暑さの余韻を感じています。一方、モンゴルではすでに雪が降り始め、涼しい季節を迎えました。そのモンゴルの最も過ごしやすい季節に、伊豆の国市の中学生が訪問しています。行程の中で必ず訪れるのが「日本人墓地の見学」です。
日本人墓地は、第二次世界大戦の終結時、シベリアをはじめとする旧ソ連領内へ連行された日本人軍人たちを慰霊するために建てられた碑です。私は大戦を経験していませんので、歴史の授業やドキュメンタリー映像を通して想像するしかありません。
当時、ソ連には64万人以上の日本人捕虜が存在し、そのうち約1万2千人余りが、厳冬のモンゴルで強制労働を強いられました。記録によれば、彼らの労働力がウランバートルの都市建設に使われたとされています。祖国への帰還を願いながらモンゴルの地で亡くなられた方々を偲び、平和への祈りを込めてこの碑を建てたのは、ソ連崩壊後のモンゴル政府でした。
その慰霊碑の前で、日本人の先人に敬意を払い、手を合わせる中学生たちの姿を見ると、不幸な歴史や国の間にあったわだかまりが少しずつ溶けていくような気持ちになります。
